MSCB/転換価格修正条項付転換社債
MSCBとは、社債の一種で「転換価格修正条項付転換社債」とも呼ばれます。「転換社債」の一種ですが、転換価格が修正される条項がついています。
通常は「株価が下がった時は転換価格を下げてもいいよ」という条項であり、これは引受手(債券購入者)にとって大変都合のよい内容となっています。個人投資家に広く販売されるようなことはなく、資金調達を目的に第3者割当の形で行われます。
MSCBは損をしない転換社債
MSCBはとっても引受する人が有利な転換社債です。
通常の転換社債は「株価>転換価格」となっている状態なら債券を株に転換して市場で売却することで利益が得られます。しかしながら、株価<転換価格となると転換できません(すると損するから)。
しかしながら、MSCBは「株価が下落すると自動的に転換価格も引き下げられる」仕組になっているのです。ですから、いつ転換しても儲けがでるというわけです。
極端な例だと、現在の株価の80%の価格で転換できるという条件のようなものです。
これだと株価がいくらであっても転換すれば必ず20%分の儲けが出る計算になりますよね。
ほぼ絶対儲かる商品です。そのため、ほぼ100%株式に転換されます。
ただ、これは普通の投資家には配分されることはありません。基本的にはお金を出してくれる大手証券会社などが引受ます。
事実上の「増資」と同じです。
違う点は増資が「新株発行数が固定で調達額は未定」であるのに対してMSCBは「調達額は固定で新株発行するは未定」というしくみになっています。
新株の発行(増資)の場合には、発行する株式数を決めます。その上で募集価格が決まります。この募集価格は時価(株価)に依存するため、いくら増資できるかは最終的な募集価格が決まらないとできません。
一方のMSCBの場合、MSCBの発行によって希望するお金は「負債」として入金されます。
その後、MSCBの引受会社が株式への転換を要請するのでその都度、新株を発行します。そのため、受け取れる増資額は当初で確定します。
ただし、どのくらいの株数が発行されるのかは最後にならないとわかりません(転換価格次第)。
MSCBは株価を下げやすい
MSCBは増資と比べても株価を下げやすいと言われます。
そもそも増資自体も「株式の希薄化」が起こるので株価が下がりやすいです。
詳しくは「増資と株価」をご覧ください。
その一方でMSCBはさらに株価を押し下げる動きがおこります。
それはMSCBを引き受けた会社の空売りです。引き受けた会社は事前に株を空売りして株価を下げて、その上でMSCBを株に転換してその転換した株を空売りの返済に充てるという手法をとります。
そのため、空売りが増えやすく株価は値下がりしやすくなります。さらに値下がりが起こると転換価格の引き下げによってさらなる希薄化が起こるというマイナスのスパイラルが発生しまくるわけです。
たとえば、Aという会社が100億円分のMSCBを発行したとします。現在の株価は1000円とします。
転換価格はその80%とする。
株価1000円の時、800円で転換。増加する株数1250万株
株価800円の時、640円で転換。増加する株数1562万株
株価500円の時、400円で転換。増加する株数2500万株
とこのように、転換価格が下がるほど発行される株式数が増加します。発行済み株式総数が増加すると当然ですが、EPS(1株あたり利益)は減少することになり、1株当たりの価値は減少することになります。
そのため、MSCBは既存投資家からは非常に嫌われる資金調達手段です。最近はMSCBではないが「ワラント(新株予約権)」を使ったMSワラント(MSSO)という方法も用いられることが多いが商品性はほぼ同様です。
もっとも、下限価格に条件が付くこともあります。その場合は下方圧力としてはその水準までということになりますね。
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